その1 ボーイング737 |
窓の外にオレンジ色の屋根が広がる。 「来た。ついに来た。OMKに。」 機体が大きく旋回しながらプラハの街へと着陸態勢を取る。 ああ、なんて美しいんだろう。 このオレンジ色の、レンガだかなんだか分かんないけどとにかく一面のオレンジ色の屋根。 地球の歩き方(買ってないけど)で見たまんまの風景だ。 あぁぁぁ、もうダメ。。ここチェコでしょ?ってことはいよいよ始まるんでしょ? ああ、どうしよう。 どうしようと言ってもどうしようもない。 地獄の10日間が、天国の10日間が始まる。 金髪のデカいスチュワーデスが私に話しかける。 「ジェスマタディナ エゴー。アドゥパダなんとかかんとか…」 チェコ語だ!! 多分「お前はもう逃げられないのよ。観念して目の前のテーブルをさっさと折りたたみなさい」 とか言っているのかしら? もうホントごめんなさい。 私みたいな日本人がOMKに来たりして。 |
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近代的で小ぶりな空港。 動く歩道のスピードは日本と同じ。 大きな窓ガラスの外には自分の乗ってきた水色の飛行機。 海外の空港はどこもこんな感じ。 長い長い動く歩道。 ああ、チェコの空気はどんな匂いがするんだろう。 入国審査って何か言うんだっけ? あれ?先に荷物受け取るんだっけ? 未知の世界にどんどん近づいていく。 でも私はまだチェコに入国していない。 この長い動く歩道を走って早く抜けたいのか、立ち止まって日本に戻りたいのか。 横をスチュワーデスの軍団がツカツカ歩いてる。 デカいしカッコいい。 この人たちももしかしたら女王…いやいや、そんなことはありません。 だってこの人たちは飛行機に乗るのが仕事。 私は今、あなたたちに囚われている場合では無いのです。 私はもう囚われる先が決まっているのです。 その集団の、金髪を束ねた1人がこっちをチラッと見る。 「そこの日本人。おまえはちゃんと心の準備ができてるの?」 え? 「ここまで来てまだ迷ってるんだったらとっとと帰りなさい!」 あああ、もう泣きそうです。 だってヨーロッパ自体始めてなのにいきなりOMKだなんて。 視界に入る女性が全て鞭を持っているように見える。 もう、もう心臓がはりさけそう。 「あなたの荷物はありません」 ガーン。 いつまで経っても私のスーツケースがベルトコンベアに乗って来ないと思ったら、 出ましたヨーロッパ風の手痛い歓迎。 成田−アムステルダム−チェコ。 途中の乗り継ぎ、オランダから私の荷物はフランス方面へ行ってしまったようです。 あらら。 振り返れば「荷物行方不明カウンター」には長蛇の列。 わーい、僕だけじゃないんだー。 それに日本人が10人はいる。 みんな怒ってるなー。 みんなヘタな英語でガンガン文句言ってます。 |
TLCの1人みたいな処理係の女性は「見つかったら電話するからホテルの電話番号を」と 小さな紙をみんなに配ってます。 日本人10人と、さらにどこだか分からない世界中の人たち30人がTLCとモメています。 40人分の荷物が行方不明でもうお祭り騒ぎです。だんじり祭りです。 太った白人男のオーバーすぎるアクション。 オー、シット!!ドカッ(なんか蹴ったぞ) あっTLCもついに怒りました。 逆ギレです。 逆にキレるのって世界共通なんだね。 あはは、たのしいなぁーワイワイガヤガヤ。 ん? ハッ!! しまった!あの荷物の中には大切なアレがっ!!! ここまで読んで来て 「何これ?一体何について書いてあるの?」 という方もいるかも知れません。 でも、ほぼ全てを理解してくれている方も多いと思います。 ちょっと説明します。 まず、OMKはオムコではありません。 オーエムケーと読みながら、でも正式名称をちょっといじった表記にしています。 ではナゼ正式名称を書かないのか。 それは…。 書くと怒られちゃうからです。 そのエリアに入る時に「ここでの一切の出来事は口外するな」って、多分言われました。 なのでこの一連の文章は私の妄想日記だと思ってください。 2週間もの間私は長い長い夢を見ていた、それを凄く鮮明に覚えていて忘れないうちに書いているんだ、 そういう前提で読んでください。 でもこんな言い訳考えておいてもOMKが知ったら「ルール違反です、削除してください」と言ってくるのでしょうね。 ああ、インターネットとはどうしてこんなに便利で不便なのでしょう。 おそらく今までOMKの事を書いた人はみんな削除させられたのでしょうね。 だってどう検索しても「OMKの感想文」なんて見つからないですもの。 さて、ここから先、あなたが読むか止めるかどうするかという問題があります。 ちょっと分かりやすく、読んでも良い人と読まないほうが良い人と分けてみますね。 <読んでも良い人> 1.S的嗜好のある女性。 2.M的嗜好のある男性で、OMKには行く予定が無い、あるいは既に行ってしまった人。 <読まないほうが良い人> 1.SMなんか全然興味が無いという人。 2.M的嗜好のある男性で、OMKに興味があって行きたくて仕方が無い、でも色々不安な点もあるし 行こうかどうかずーっと迷っている人。で、いつかは行ってみたいと本気で考えている人。 そうです。 私が気にしているのは、あなたが <読まないほうが良い人> の2番に当てはまっているのでは… という事です。 私はここからなんでもかんでも書いてしまいます。 つまりあなたの、OMKに行こう!という欲求に水を差してしまうかもしれません。 それでも良いでしょうか。 OMKに行くということは、チェコを効率良く観光して周るということではありません。 OMKに行くということは、あなたが理想の国に閉じ込められるということです。 自由が制限され、言葉も通じない大きな女性達に囲まれ、次に一体何をされるのか分からない不安の中で 這いつくばりなから一生懸命生きるということです。 そんなあなたに 「トイレは廊下の右側奥、左の扉はミストレス用なので使うと怒られます」 なんて便利情報は、むしろ邪魔だと思うんです。 何も分からないまま引っ張りまわされるドキドキ感を、私は壊すつもりはありません。 読んでしまってソツなくこなすことは、無駄を省くことにはなるかも知れませんが 予期せぬドラマも同時に省いてしまうかもしれません。 どうかよく考えて。 |
--この日記は不定期更新です-- |